乗客300人、避難完了まで30分 小田急線沿線火災
激しい炎が上がる建物(奥)と小田急線の車両(手前)=10日午後、東京都渋谷区(住民提供)
東京都渋谷区の小田急小田原線沿線のビル付近から出火し、小田急線の列車にも燃え移った火災で、警察が列車の非常停止ボタンを押したところ、列車が火災現場の隣に止まったことが、警視庁や小田急電鉄への取材で分かった。列車の乗客が避難を終えたのは、停止した約30分後だった。
警視庁などによると、10日午後4時5分ごろ、ボクシングジムが入る3階建てビル付近から出火。約5分後に消防から「火災が起きているので、電車を止めてほしい」と要請があり、代々木署員が現場近くの踏切の非常停止ボタンを押した。現場手前を走っていた新宿行き上り列車(8両編成)は自動的に非常ブレーキがかかり、火災現場の脇で緊急停止した。
火事現場から離れようと運転士が列車を動かし始めたが、先頭から2両目の屋根に火が移っているのが確認されたため、列車を再び停止させた。列車内には乗客約300人がいたが、2両目から遠ざけるため、車内放送などで乗客を先頭と最後尾の車両に誘導して線路に降ろし、午後4時45分ごろまでに避難を完了したという。
この列車のほかに、付近を走っていた上下線計7本の列車も駅間などで停車し、乗客が車両から降りて、最寄りの駅や踏切まで歩いたという。火災の影響で、小田急線は新宿―経堂間で約5時間半にわたって運転を見合わせ、約7万1千人に影響が出た。
警視庁によると、出火当時、ビルの1階のジムでは指導者と練習生の計6人が練習中だった。宿舎などがある階上が出火元とみられ、ジムに出入りする関係者は「たばこの消し忘れかもしれない」と話しているという。
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