サルの「自撮り」、誰に著作権? 収益寄付で訴訟和解
サルが人のカメラで「自撮り」した場合、サルに著作権は認められるのか。動物愛護団体がカメラの持ち主である写真家を訴えた訴訟が11日、和解した。写真家が将来、自撮り写真から得られる収益の25%をサルの保護のために寄付することに合意したという。
英メディアなどによると、インドネシア中部スラウェシ島で2011年、英国の写真家デービッド・スレーター氏が、三脚を立てたカメラに、手元でシャッターを押せるレリーズを付けてサルの近くに設置した。これを使って「ナルト」という名のサルが「自撮り」に成功。サルが歯をむき出しにしてニヤリと笑う写真は有名になった。
米国の動物愛護団体「PETA」は15年、「写真の著作権はナルトにある」としてナルトを代弁して提訴。スレーター氏側は、サルが自撮りするまでサルとの信頼関係構築に数日を費やしており、同氏が著作権を主張するのに十分な努力をした、とし、このサルは、ナルトではない別のサルだとも主張していた。米国の地方裁判所が昨年、サルに著作権の保護は適用されないとする判決を出し、PETAが控訴していた。
スレーター氏とPETAの代理人は11日、「法的権利を人間以外の動物に拡大することについて、重要で先進的な議論を巻き起こした」などとする共同声明を出し、米サンフランシスコの連邦第9控訴裁判所に訴訟の取り下げを申し出た。(ロンドン=下司佳代子)
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