クルド独立の住民投票開始 賛成多数の見通し、地域緊張
「国を持たない世界最大の民族」と呼ばれるクルド人を主体とするイラク北部の自治政府、「クルディスタン地域政府」(KRG)の領域で25日朝(日本時間同日午後)、イラクからの独立の賛否を問う住民投票が始まった。賛成多数となるのは確実視されている。
投票は、イラク有数の油田地帯である北部キルクーク州などイラク政府との係争地でも実施される。KRGは投票結果をもとに、独立へ向けた交渉をイラク政府と始める意向だ。
これに対し、イラク政府、トルコやイランなどの周辺国、米欧などは「イラクを分裂させ、中東を不安定にさせる」として猛反対し、中止や延期を求めている。トルコとイランはKRG領域に近いイラク国境周辺で軍事演習を実施し、中止するように圧力をかけていた。KRGが実施に踏み切ったことで地域の緊張がさらに高まる可能性がある。
投票は現地時間の25日午後6時(日本時間26日午前0時)に締め切られる。選挙・住民投票委員会によると有権者は約550万人。同委員会は26日までに最終結果を公表するとしている。(アルビル〈イラク北部〉=翁長忠雄)
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