突然の「合流」、民進漂流 「党を売る話だ」反発の声も
衆院解散直前になって小池百合子・東京都知事の新党「希望の党」と、民進党の合流構想が急浮上した。安倍政権に対抗する一点で結集できれば、衆院選の構図が一変する可能性を秘める。だが、新党への身売りにも近い合流構想には民進党内から強い反発が出ており、四分五裂となる可能性すらある。
東京都内のホテルで27日に行われた「希望の党」の結党記者会見。衆参の計14人の国会議員が小池代表を囲んだ。
8人は民進を離れた議員、残りは自民や日本のこころなどから集った「寄り合い所帯」。代表に就任した小池氏は「今日のチャーターメンバーのみなさんを始め、これからも多くの仲間が増えていく」と言い切った。
その前夜。小池氏は民進の前原誠司代表と会談していた。衆院選での連携を確認し、民進議員が党籍を残したまま、小池新党が公認を出す。比例区では統一名簿も――。前原氏は事実上の「合流」に向けたさまざまな方式を提案したという。
25日に設立されたばかりの新党にとって、全国展開のために不足しているのは地域に地盤を持つ人材と資金。民進には「100億円」(民進関係者)ともいわれる資金がある。すでに、落選して政界から離れていた近畿地方の元民主党衆院議員にも、新党側から「調査票を送って、600万円を振り込んでほしい。自動的に公認する」と立候補の打診があったという。
当初は民進との連携を否定してきた小池氏は26日夜、新党の中核メンバーである細野豪志・元環境相ら数人の議員を前に「候補者擁立は任せてもらえますか」と宣言。異論は出なかった。小池氏側近は「党と党ではない」と語り、民進議員を受け入れるのは、個別参加の形を想定していると明かす。新党関係者は「リベラルな議員はダメだ。新党側で選ばせてもらう」と述べた。
一方の前原氏。離党ドミノを止められない状況を打開する「一発逆転満塁ホームラン」(民進中堅)を放つためには、新党の勢いにのみ込まれるしかないと判断したようだ。前原氏を支持した閣僚経験者は「政権交代に向けた動きだ」と歓迎する。別の中堅議員も「民進党は役割を終えた。小池氏の勝負に乗っかるタイミングだ」と喜ぶ。
民進の最大の支持団体、連合幹部が前向きなことも、前原氏の動きを後押しする。連合は共産との連携には否定的な一方で、東京都議選では小池氏と協力した実績がある。連合の神津里季生(こうづりきお)会長は27日の記者会見で小池氏を「『1強政治』に終止符を打つというスタンスを明確に打ち出している」と評価。前原氏についても「期待をずっとしている。連合としても支持、応援していきたい」と語った。
前原氏は野党再編に向けて、党内の反発覚悟で自由党の小沢一郎代表とも会談を重ねてきた。「最後の代表になります」と解党も辞さないとの考えを伝えていた。小沢氏も自身に近い民進議員に「このまま最後まで貫いてほしい」と語り、前原氏の動きを見守っているという。
前原氏は28日、衆院解散後の両院議員総会で新党との合流構想を提案し、理解を求める方針だ。保守系のベテランは「当然異論も噴出するだろうが緊急事態だ。力業でやるしかない」と語り、分裂含みの展開も辞さない姿勢を強調した。
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