缶詰開けたら、すぐごはん お湯や水不要、非常食開発

写真・図版ごはんの缶詰を手にするメグミフーズの神原輝福社長=徳島県阿南市新野町

 開けてすぐに食べられる災害時の非常用の炊き込みごはんの缶詰を徳島県阿南市の「メグミフーズ」が開発した。水を加えたり、温めたりする必要がなく、賞味期限は5年間。具材は地元産のタケノコや梅、栗の3種類あり、神原輝福(かんばらてるよし)社長(62)は「避難所でも、ほっとした気持ちになってほしい」と話す。

太平洋に面した県東部の同市は、県の想定で、南海トラフ巨大地震が起きれば人口の3分の1超の約2・6万人が避難所生活になる。市は非常食の充実に向け、同社に開発を働きかけていた。非常食のご飯は、炊いた米を急速乾燥させた「アルファ米」があるが、食べるにはお湯か水を入れ、数十分間待つ必要がある。開発した缶詰は手間が掛からず、常温でもおいしいという。

缶詰は県産コシヒカリに具材やだしを加えて密封し、110~120度で加熱殺菌して炊き上げる。缶は缶切り不要のプルトップ式で、保存料や添加物は使っていない。具材によって重さは異なるが、分量は茶わん1杯半ほどある。

試食会では、元自衛官で市の防災担当職員が「自衛隊の缶詰よりおいしい。食材の風味も、米の食感もしっかりしている」。岩浅嘉仁市長は「市の備蓄食品として利用し、阿南発の非常食としても普及させたい」と話す。同社は好評なら市販も検討するという。市販時の価格は300円台を予定している。(佐藤常敬)

ASAHI.COM

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