大丸、変化続け創業300年 ネット時代に出した答え
「大丸京都店 祇園町家」がある通りには外国人観光客の姿も目立つ=9月23日午後、京都市東山区
京都発祥の百貨店「大丸」(現大丸松坂屋百貨店)が今年、創業300年を迎えた。呉服商から形を変え、危機を何度も乗り越えてきた。「先義後利」の理念のもと、まずは地域のためにと店開発を進める。
■義理優先、利益後回し
大丸は京都・伏見で1717年、下村彦右衛門が呉服店として創業した。だが、300年の道のりは険しかった。1864年の禁門の変では京都の本店が焼失。1914年には不況で京都や大阪の店が休業に追い込まれた。20年は大阪店が全焼。バブル経済の崩壊後は、国内外で多くの店の閉鎖を余儀なくされた。
これらの危機に直面したとき、支えとなったのが社是の「先義後利」だった。利益を後回しにし、義理を先に果たすという考えだ。
逸話も残る。江戸時代後期の大塩平八郎の乱の際、富商や豪家の多くが被災した。だが、大塩は「大丸は義商なり、犯すなかれ」と焼き打ちしないように命じた。大丸が貧しい人や失業者のために、防寒用の服を配ったり、炊き出しをしたりしていたと伝わる。
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