「九条守れ」俳句訴訟、掲載拒否は「不公正」 地裁判決
さいたま地裁前で判決結果を伝える原告側支援者ら=13日午後、さいたま市浦和区、平野尚紀撮影
集団的自衛権の行使容認に反対するデモについて詠んだ俳句を「公民館だより」に掲載することを拒まれたのは、憲法が保障する表現の自由などに反するとして、作者のさいたま市の女性(77)が、公民館を所管する市に慰謝料を求めた訴訟の判決が13日、さいたま地裁で言い渡された。大野和明裁判長は公民館側が「思想や信条を理由として掲載しないという不公正な扱いをした」などとして原告の訴えを一部認め、市に5万円の支払いを命じた。
判決などによると、女性は2014年6月、集団的自衛権の行使容認に反対するデモに参加した経験から「梅雨空に 『九条守れ』の 女性デモ」という句を詠んだ。所属するサークルの秀作は地元の公民館だよりに掲載されていたが、たよりを発行する三橋公民館(さいたま市大宮区)が「世論を二分するテーマのため、掲載できない」と拒否。女性は表現の自由に反し、掲載を期待する権利を侵害されたなどとして、句の掲載や損害賠償200万円の支払いを求めて提訴していた。
大野裁判長は、不掲載の判断をした公民館長らが過去に教員だった経験から「教育現場で憲法に対する意見の対立を目の当たりにして辟易(へきえき)し、一種の『憲法アレルギー』のような状態に陥っていたのではないかと推認される」と指摘。憲法に関連する文言が含まれた句に抵抗感を示し「理由を十分検討しないまま掲載しないことにしたと推認するのが相当だ」とした。
一方で、表現の自由を侵害されたとの原告側主張については「公民館だよりという特定の表現手段を制限されたにすぎない」として退け、句の掲載請求も認めなかった。(笠原真)
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