ワイン産地に打撃 支えた移民「散り散り」米国原野火災
米カリフォルニア州北部のソノマ郡、ナパ郡などで広がった原野火災は、現地時間19日までに42人の死亡が確認された。米国でも有数のワイン産地だが、将来を見通せない状況だ。
被害が大きかったソノマ郡サンタローザ。焼け焦げた住宅地からは人影が消え、リビングの椅子やベッドはフレームだけが残る。溶けた緑色のワインボトルがくっついて塊となり、ワイナリーがあったことがわかる。
8日夜に発生した火災は19日も燃え続けた。東京23区の約1・4倍にあたる約860平方キロメートル以上が焼け、7千近い建物が焼失。米メディアによると、現在も50人以上と連絡がとれず、1万5千人以上が避難生活を送る。
スポーツジム勤務ジェイク・フォービスさん(31)の自宅も全焼した。「煙の臭いで外を見たら、丘の向こうが赤く染まっていた。突風が吹き荒れ、10分足らずで家は炎に囲まれた」。義母が近所の家を回ってドアをたたいたが、親しい隣人だった80代の夫婦は命を落とした。「あと30秒でも出るのが遅れたら、僕たちも助からなかった」
米国からの輸出ワインの9割がカリフォルニア産だ。この地域は高級ワインで知られ、日本のツアー客も多かった。カリフォルニア州のワイナリーで作るワイン協会によると、2016年の米国産ワインの日本への輸出額は8700万ドル。火災による被害の全容はつかめていない。
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