首相、「謙虚」って本当?質問削減に野党反発「せこい」
国会での野党の質問時間を削減しようという政府・自民党の動きに、野党が反発を強めている。衆院選大勝の勢いに乗って、国会審議を与党に有利なルールに変更しようという狙いが透けるからだ。ただ民主党政権時代に野党だった自民党は手厚く配分されており、野党は安倍晋三首相の「謙虚さ」を問う構えだ。
「とんでもない暴論とも言える主張は一刻も早く取り下げていただきたい。一切、我々として妥協する余地はない」。立憲民主党の枝野幸男代表は30日、党本部開きのあいさつで語気を強めた。同党は、与野党の質問時間の配分見直しを認めない方針だ。
最大のポイントは、政府とそれを支える与党は国会審議で「一体性」が高い、という点だ。政府は国会提出前に法案や予算案の内容を与党に説明し、了承を得る仕組みになっている。野党と違って、与党の意向は国会で議論される前に政策に反映される。
枝野氏はこの仕組みを念頭に「自分たちで了解しているものについて『野党と同じように質問させろ』とは全く論外」と批判。「首相は立憲主義も分かっていないから、議院内閣制のなんたるかを分かっていないのはさもありなん」と言い切った。
共産党の小池晃書記局長も同日の記者会見で「野党の質問封じとしかとれない、あまりにせこいやり方だ」と非難。「こんなことをやったら国会は政府の翼賛機関になってしまう。言語道断だ」と危機感をあらわにした。
野党側の反発は、30日午後の各派協議会でも噴出。1日に召集される特別国会の段取りを話し合う会合だったが、野党の代表者は一斉に質問削減を話題にした。
「首相が謙虚な姿勢で臨むといっていた、その謙虚な姿勢の最初が質問時間を削るということか」「とんでもない話だ」
こうした批判に対し、自民党の代表者である石田真敏氏は「(自民)若手からも見直しを求める声がある」と説明。「別の機会で議論していただく」と述べるにとどめた。
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