山口・下関の横浜ファン、鯨店に集う 一時期大洋が本拠
鯨料理を肴(さかな)に野球談議で盛り上がる佐竹敏之さん(左)と小島純子さん(右)ら=下関市
戦後間もない一時期、横浜DeNAベイスターズの前身、大洋ホエールズの本拠地だった下関市にベイスターズファンが集まる店がある。鯨料理の専門店「下関くじら館」。1998年にベイスターズが日本一に輝き、下関の街も熱気に包まれた時の再来を願い、日本シリーズでの選手たちの活躍を待ち望んでいる。
下関市の歓楽街・豊前田町。その一角に、大きなクジラの絵と部位の名が描かれた看板が目を引く「下関くじら館」はある。営むのは店長の小島純子さん。地元新聞社の記者だった父親が77年に開店した。
鯨料理の名店として繁盛し、「クジラつながり」で横浜大洋ホエールズのファンも通うように。チーム名を改めたベイスターズが日本一を達成した98年には店の前で鏡割りをして振る舞い酒で祝った。小島さんは「日本一を祝う人が通りにあふれ、活気のあったころの下関がよみがえったようでうれしかった」と話す。
市内の小学校教諭、佐竹敏之さん(58)も常連客の一人だ。野球好きの父親に「大洋はのう、昔下関におったんやけえの」と聞いて育った。下関に本社があった旧大洋漁業(現マルハニチロ)が49年に球団を設立。翌年、プロ野球チームの大洋ホエールズとなり、数年間、下関に本拠を置いた。
佐竹さんは仲間と共に、98年の日本一を機に「横浜ベイスターズ下関ファン集いの会」を結成。ホエールズの前身はノンプロの大洋漁業野球部だったことなどを調べ、秘話をまとめた「大洋ホエールズ誕生前!」(文芸社)も出版した。
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