閉校前の思い出に 鈴木明子さん、児童にスケート指導
簡易リンクで滑り方を教える鈴木明子さん=14日、新潟県新発田市立松浦小学校、飯塚悟撮影
プロフィギュアスケーターで元五輪女子シングル日本代表の鈴木明子さんが14日、体験型の出前授業「スケートキャラバン」(朝日新聞社主催、木下グループ特別協賛)で新潟県新発田市立松浦小学校(関川紀美子校長、児童79人)を訪れ、講演とスケート指導をした。
鈴木さんは五輪では、2010年バンクーバー、14年ソチと2大会連続入賞を果たしたほか、12年世界選手権で銅メダルを獲得。14年3月の世界選手権で6位入賞した直後、29歳で現役を引退するまで長く活躍した。現在は振付師やテレビ解説などの活動もしている。
鈴木さんは全校児童を前に、小学1年の10月にスケートを始め、地域の大会から順に大きな大会へと目標を上げ続けたこと、こつこつと練習を重ねて五輪出場につなげたことを話した。その上で「まず夢を持って。次に、夢をかなえるためには何をしたらいいのか考えて。家族や友人にも話して応援してもらおう」と語りかけた。「苦手なものでも練習しようというチャレンジを忘れずに、一歩を踏み出して」と励ました。
次いで、体育館に設置した樹脂製の簡易リンクで滑り方を指導した。同小はスキー指導はするがスケートをする機会は少なく、児童らの9割は未経験者。こわごわ手すりを持って歩いていたが、鈴木さんが「かかとを合わせてがに股で立って。足を少し後ろに蹴ってごらん」と指導すると、大半が転びながらも滑れるようになった。
3年の本間奏羽(かなは)さんは「教えてもらった通りにしたら滑れてうれしかった」と話した。
鈴木さんは10~12日にNHK杯の中継番組にコメンテーターとして出演したばかり。「世界の一流選手もみな最初はきょうの子どもたちのようにスタートした。私も怖くて手すりにしがみついていたことを思い出して懐かしかった」
松浦小は少子化のため、今年度で他の2校と統合し、別の場所で再出発する。閉校する前に思い出を残したいと応募した。鈴木さんは「体育館にリンクが出来て滑ったことを、人生の1ページとして覚えていてくれたらうれしい」と話した。
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