ウミガメに乗って生活 新種の甲殻類「ウラシマ」と命名
「ウラシマ」という表記を含む学名がついた新種の甲殻類のオス。右下の棒線は1ミリメートル(角井敬知・北海道大講師提供)
ウミガメの甲羅の上で暮らす新種の甲殻類を、北海道大の角井敬知講師(系統分類学)らが発見した。甲羅に乗って海中を旅する浦島太郎の物語にちなんで、「urashima(ウラシマ)」の文字を含む学名をつけ、分類学の国際専門誌に発表した。
この甲殻類は「タナイス目」の一種。体長2~3ミリで、はさみを持つ。ウミガメに付着するフジツボなどを研究する日本工営中央研究所の林亮太研究員が甲羅に付着していた個体を採取して角井さんに送ったことが、新種発見のきっかけになった。
昨年5~6月に鹿児島県・屋久島で改めて調査を実施。砂浜に上陸したアカウミガメの甲羅上から採取し、体の構造を顕微鏡で詳しく調べた。その結果、脚や触角の特徴などが、既知のどの種とも異なることが分かった。
アカウミガメは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている。角井さんは「生物多様性を守るには、ウミガメだけでなく、小さな寄生生物にも目を向けることが大切だ」と話している。(合田禄)
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