赤ちゃんと議会出席、なぜできない? 「傍聴人」の扱い

写真・図版地方議会における女性議員の割合

 熊本市の女性市議が赤ちゃんと一緒に本会議に出席しようとしたがかなわなかった。何が起こっていたのか。

22日午前、熊本市の緒方夕佳市議(42)が7カ月の長男を抱いて本会議場に入り、本会議に出席しようと自席に座った。すると、沢田昌作議長や議会事務局職員らが緒方氏と何事か話し合い、議長室へ移動して協議を続けた。最終的に緒方氏は議場で赤ちゃんと同席することを断念。長男を友人に預けて本会議に出た。

なぜ、子どもを連れての出席が拒まれたのか。議会事務局によると、市の会議規則に乳児の同伴を禁じる定めはないが、議会傍聴規則は「傍聴人は、会議中いかなる事由があっても議場に入ることはできない」と定める。このため、長男を傍聴人とみなして同伴は認められないと判断したという。

緒方氏は本会議後、「子育てと仕事を両立しようとしている女性たちが直面している問題を体現したかった」と説明した。2015年に初当選し、4歳の長女もいる緒方氏は妊娠中、同市議会で初めて座ったまま質問したり、泊まりがけの視察に子どもを同伴したりしてきた。今回は、事前に「子ども連れで出席できるかなどを議会事務局に相談したが、ベビーシッターを雇って下さいという対応で変わらず、らちが明かないと思った」と話す。

一方、議会事務局の説明は異なる。緒方氏から「子どもと長時間離れるのは不安だ」といった話は聞いていたが、「具体的な要望はなかった」。この日の子ども連れも議長や議会事務局に事前の連絡はなく、規則の変更を申し入れる手続きもなかったという。沢田議長は「もう一度要望を聞いた上で、議会運営委員会で議論していきたい」と語った。

ASAHI.COM

 

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