「たまった新聞、心配に」 配達員が機転、独居女性救出
一人暮らしの自宅で体調を崩し、衰弱していた岐阜県多治見市の70代の女性が、新聞がたまっているのを心配した配達員の機転で一命を取りとめた。市高齢福祉課の担当者は「地域のつながり、支え合いという理想的な形で命を救えた」と感謝している。
女性の自宅は多治見市小名田町小滝。2日早朝、隣接する同県可児市桜ケ丘の朝日新聞販売所の店長、木須恵美さん(55)が配達して気づいた。この地区の配達員が辞めたため配達に回ったところ、玄関先に11月20日ごろからの新聞がたまっていたという。
木須さんは明るくなってから再び訪れ、近所の人に伝えた。区長の服部勇三さんと民生委員が家に入り、ソファに横たわっていた女性を見つけ、救急車を呼んだ。「話はできるが衰弱していた。食事も取れず数日間、水だけを飲んでいたらしい」と服部さん。
女性は今も入院治療中という。女性宅は1970年代半ばに造成された多治見、可児両市にまたがる住宅団地にあり、一人暮らしの高齢者も少なくない。服部さんは「お互いに見守り合い、関心を寄せ合っていかないと。今回は本当にありがたかった」、木須さんは「たまった新聞を見て心配で仕方なかった。命が助かって本当によかった」と話した。(松下和彦)
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