滋賀の呼吸器外し事件、再審開始を決定 大阪高裁
再審開始が決まり大阪高裁前で笑顔を見せる西山美香さん=20日午後2時6分、大阪市北区、伊藤進之介撮影
滋賀県内の病院で2003年、入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして有罪判決を受けた元看護助手、西山美香さん(37)について、大阪高裁(後藤真理子裁判長)は20日、再審請求を棄却した大津地裁決定を取り消し、再審開始を認める決定を出した。
訴訟記録によると、03年5月、同県東近江市の湖東記念病院で、男性の入院患者(当時72)が死亡した。看護助手だった西山さんは翌年7月、警察の任意聴取に「呼吸器を外した」と自白。殺人容疑で逮捕、起訴された。公判では無罪を主張したが最高裁で懲役12年が確定、今年8月に満期出所した。
再審請求審の争点は、自白の信用性と入院患者の死因だった。確定判決は死因を「酸素が途絶えたことによる急性心停止」と認定。自白が自発的で、迫真性にも富むとして信用できると判断していた。
これに対し弁護団は高裁の審理で、司法解剖時の血液データから「患者は酸素が途絶えたからではなく、致死性の不整脈で死亡した可能性が高い」とする医師の意見書を証拠として提出。死因が致死性不整脈なら「呼吸器を外した」という自白内容と整合せず、自白は信用できないと主張していた。(釆沢嘉高)
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