「なんとか、しのいだ」信越線の乗客、JRへの怒りも
迎えに来た家族と線路を歩いて帯織駅へむかう乗客たち=12日午前6時30分、新潟県三条市茅原、武田啓亮撮影
猛烈な雪が降り続く中、約430人の乗客が列車内で一夜を明かした。JR信越線が大雪で立ち往生したトラブル。4両編成のため座席が足りず、多くの乗客が立って運転再開を待った。乗客や家族からはJRに対する怒りも聞かれた。
立ち往生した新潟県三条市の現場周辺は、街灯もない水田地帯。真っ暗闇に列車の明かりだけがともり、JRの社員はその明かりを頼りに除雪作業をした。三条市消防本部が設置している計測器では、11日午後7時の積雪は77センチだった。
車内には、帰宅途中の中学生や高校生がたくさんいた。友人3人と一緒だった小栗拓斗さん(16)は「席を交代で譲り合って、なんとかしのいだ」。車内ではドアにもたれて眠る人、外をぼうぜんと見つめる人、JR社員が配った段ボールを床に敷いて座る人もいた。見附市の木場愛里さん(13)と斉木心さん(13)は「自分たちは座れたが、ずっと立っている人もいて、つらそうだった」。週末に大学入試センター試験があり、参考書を読み込む受験生も多くいた。
車内では復旧の見通しが全く知らされず、乗客は不安な時間を過ごした。会社員の宮島唯さん(21)は「情報がなく、JRの人は除雪中としか言ってくれなかった。みんなスマホでニュースを見ていた」。携帯電話の電池が切れ、家族と連絡が取れなくなってしまう人も続出した。
現場に近い帯織駅には、迎えの家族らが集まり、12日午前4時半ごろには車が31台止まっていた。
午後7時半から中学1年の娘を待っていた大塚尚子さん(44)は「JRから情報が何もなくて、どうしたらいいのか全く分からない。その場で降ろすとか、除雪の応援をもっと早く呼ぶとか、最善の策があったのではないか」。
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