「幻のラムネ」は覚悟の味 がん闘病を乗り越えて

写真・図版レインボーラムネ

「幻のラムネ」と呼ばれる奈良県生駒市名物のレインボーラムネ。作っているのは小さな町工場だ。長い下請け時代を経た末、7年かけて完成させた。だが、軌道に乗り始めた矢先、社長は大病に。店頭販売が少なく、入手が難しいほどの人気商品には、苦しみを乗り越えた喜びが詰まっている。

ピンク、黄色、水色、白。パステルカラーの直径2センチほどのラムネは、口に含むと甘酸っぱい。外はカリカリ、中は柔らか。そんな舌触りが人気を呼ぶ。

手がけるのは生駒市俵口町のイコマ製菓本舗。住宅地の中の平屋建て工場で、社長とパート数人が1日400袋、約10万粒を作っている。それでも需要に追いつかない。

1964年、平口治社長(69)の父が創業した。治さんは大学卒業後の23歳から手伝い、父子で細々とラムネを作ってきた。大手製菓会社の下請けをしたり、キャラクター商品に携わったり。だが、経営は安定しなかった。

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