父は娘に手を伸ばすように…23年、児童に語るあの日
精道小学校の追悼式で、追悼の言葉を述べる寺井晴江さん=17日午前9時45分、兵庫県芦屋市、関田航撮影
震災で兄とめいを失った寺井晴江さん(68)=兵庫県西宮市=はこの日、同県の芦屋市立精道小学校で子どもたち約600人を前に震災の体験を語った。
あの日、大阪府守口市の自宅で大きな揺れを感じ、外へ飛び出した。しばらく安否確認に奔走し、長女らとは連絡がとれた。しかし、芦屋市に住む兄の寺田有一さん(当時47)と、めいの美紗乃(みさの)さん(同11)とは連絡がつかなかった。
親子が暮らす2階建て文化住宅に車でたどり着いた。建物は崩れ落ち、周辺はがれきの山。両親と自衛隊員が手を合わせているのが見えた。
有一さんはこたつの下にいる美紗乃さんに手を伸ばすようにして亡くなっていた。運ばれてきた2人の顔をウェットティッシュで拭きながら涙がこぼれた。「最後まで一緒にいたかったんやろなあ」
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