ビーフカレーの名店、牛めったに食べないインドになぜ?
ビーフカレー(左上)とライスなど。全部で150円と安い=コチ、奈良部健撮影
インドではヒンドゥー教が神聖視する牛の肉は、めったに食べられない。ほとんどの州で牛を殺すことが法律で禁止されている。だが、牛肉を食べられる数少ない地域がある。ナガランドやミゾラムなどの北東諸州や南部ケララ州だ。
とりわけ、ケララ州は一度は行ってみたいところだった。学生時代に読んだインド人のノーベル経済学賞受賞者アマルティア・セン氏がケララ州を次のように紹介していたからだ。
――識字率は100%近く、インド全土の平均をはるかに超えている。医療水準は高く、乳児の死亡率は最も低く、平均寿命は最も長い。多数派ヒンドゥー教徒やイスラム教徒など宗教間の争いも少ないとされる。女性の社会進出も進んでいるという。<共著「INDIA Development and Participation(インド 開発と参加)」(2002年)より抜粋>
インドは経済成長が著しいと言われながら、多くの貧困層を抱え、衛生や医療といった基礎的な社会指標はまだまだ低い。そのインドにあって、セン氏が描くケララは「別世界」のようだった。
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