衆院代表質問 1月24日
通常国会の論戦がスタートしました。安倍晋三首相の施政方針演説などに対し、各党の幹部が質問。森友・加計学園問題や憲法などをめぐる攻防をタイムラインで追います。
枝野氏と玉木氏、首相批判が共通 二階氏は首相に「水向ける」
〈解説〉午後4時7分、希望の党の玉木雄一郎代表の質問に対する、安倍晋三首相の答弁が終わりました。今日は午後1時から、立憲民主党の枝野幸男代表、自民党の二階俊博幹事長、玉木氏の順に3氏が質問しました。
野党の枝野氏と玉木氏は、安倍政権の経済政策を「強いものをより強くすることが基本」(枝野氏)、「勝った者が正義との考え」(玉木氏)と批判するなど、共通点が多数。2氏ともアベノミクスに代わる経済政策を打ち立てようとする姿勢が見られました。
与党の二階氏は、憲法改正について「総理のお考えをお聞かせ頂きたいと思います」と尋ねていました。首相が語りたいことに「水を向ける」形のやりとりが多かったようです。(山岸)
首相、平昌出席時の日韓首脳会談「慰安婦合意、履行働きかける」
希望の党の玉木雄一郎氏は、安倍晋三首相に韓国・平昌五輪の開会式への出席についてただした。「五輪は五輪として、我が国として言うべきことは文在寅(ムンジェイン)大統領にしっかり伝えるとともに、半島非核化という目標が1ミリも揺らぐことがないよう、米国含む関係国への働きかけをお願いしたい」。
首相は答弁で、「開会式に出席できる場合、ぜひとも文大統領と会談を行い、北朝鮮に核ミサイル計画を放棄させるために圧力を最大限まで高める方針から、ブレてはならないことを直接伝えたいと考えている」と説明した。対北朝鮮政策で、韓国が「ブレ」る懸念を表明した格好だ。
また首相は「慰安婦合意についても日本政府の考え方を明確に伝えたい。韓国側にも約束を誠実に履行するよう働きかける」と述べた。
玉木さんってこんな人
〈解説〉希望の党の玉木雄一郎代表は、48歳で当選4回。民主党が政権交代を果たした2009年に初当選した若手・中堅世代です。衆院選で希望の党に移りましたが、同党は失速。選挙後のかじ取りが混乱する中で、小池百合子東京都知事とともに共同代表に就任し、小池氏が退任すると党代表を引き継ぎました。玉木氏にとって、その後の党運営は混乱続きで「火中の栗」そのものです。年末年始には、参院で今も野党第1党の規模を持つ民進党と統一会派を組もうとしましたが、反対論に阻まれて断念。通常国会で、党の存在感を示せるかが問われています。(山岸)
野党は「もりかけ」に「スパ」も追及 希望・玉木氏
3番目に質問したのは、希望の党の玉木雄一郎代表。「永遠の道半ば」という言葉を繰り返し用いた。GDP600兆円、待機児童ゼロ、北方領土問題――と目玉政策がたくさんあるのに、どれも達成できず「華々しい目標」ばかり積み重なる、という批判だ。
「総理が繰り返す『政治は結果責任』と矛盾するのではないか」と述べ、目標達成へ道筋を示すよう求めた。
スーパーコンピューター開発を巡る助成金詐欺事件にも触れた玉木氏。「閣僚など政務三役や官邸職員が関与していないと総理は断言できるか」と、政治の関与をただした。
首相「自衛隊は違憲と主張する有力政党も。そうした議論の余地なくす」
自民党の二階俊博幹事長に、安倍晋三首相が答弁した。憲法9条に自衛隊を明記する改憲案について二階氏は「多とする」と評価し、「命を賭して任務を遂行する公務員の心に、我々は尊厳と誇りと勇気を与えなければならない」と求めた。
これに対し首相は「自衛隊は違憲だと主張する有力な政党も存在する。自衛隊員に対し『君たちは憲法違反かも知れないが何かあれば命を張ってくれ』と言うのは、あまりにも無責任だ」と応じた。与党席から「そうだ」と声が上がる。「そうした議論が行われる余地をなくすことは私たちの世代の責任ではないか。ご指摘はまさにその通りだ」と述べ、改めて改憲に意欲を示した。
二階さんってこんな人
〈解説〉二階俊博さんは2016年、安倍晋三首相(自民党総裁)が党幹事長に登用しました。昨夏の党役員人事でも再任。国が財政出動してインフラ整備をし、災害に強い国土を作るという「国土強靱(きょうじん)化」が持論で、永田町では二階さんの代名詞になっています。インフラや観光政策にも強いです。
政策面では、中国を何度も訪問して習近平(シーチンピン)国家主席と会談して「親中派」とみられています。対中強硬派とされる安倍首相とは、一線を画している格好です。この秋の自民党総裁選に向けては、早くから「安倍さんの次は安倍さん」と公言し、首相の3選を支える構えを崩していません。(山岸)
自民・二階氏は「働き方改革」を質問
代表質問の2番手は、自民党の二階俊博幹事長。78歳の重鎮だ。昨年末の特別国会では、与党が質問時間を増やそうとし、野党から与党質問は「政府のヨイショ」と批判されただけに、何をただすか注目される。
二階氏は「今国会の最大のテーマは『働き方改革』であります」と強調。その上で、「安倍総理には、働き方改革の実現に向けて、国民に分かりやすく語りかけて頂きたい」と丁寧な説明を求めた。政府の方針にまず賛意を示した上で、個々の点で国民が不安を持たないよう念を押す、というスタイルだ。
枝野氏、首相の憲法観を批判「まっとうな議論できるはずない」
〈解説〉強大な政権・与党と分裂して乱立する野党――という構図から、「1強多弱」と言われる国会。野党第1党となった立憲民主党の枝野幸男代表は、政治に緊張感を取り戻すことができるでしょうか。枝野氏が代表質問で、安倍晋三首相の経済政策は「現場とズレている」と指摘し、きめ細かな論争を挑んだのは、政策で競っていこうという意思の表れでしょう。
一方で枝野氏は、首相の憲法観を批判して「まっとうな(改憲の)議論ができるはずもありません」と拒みました。首相は自席で腕組みをしたまま苦笑いし、何かをつぶやいていました。論戦がかみ合い、生産的な国会になるよう期待したいと思います。(山岸)
首相、佐川国税庁長官は「適材適所」 枝野氏の更迭要求に
安倍晋三首相は24日の衆院本会議で、立憲民主党の枝野幸男代表が国有地売却問題をめぐり佐川宣寿国税庁長官の更迭を求めたのに対し、「他の全ての人事と同じく、適材適所の考えに基づいて行った」と答弁し、否定した。議場からは一斉に「ええー」との声が上がった。
枝野氏は安倍政権の政策が暮らしの底上げにつながらないとし、生活保護の「基準を引き下げるのは本末転倒だ」と批判。これに対して首相は「基準額が上がる世帯、下がる世帯が生じる。ただし基準を全体として引き下げるものではない」と反論した。
枝野氏、佐川国税庁長官の更迭を要求
立憲民主党の枝野幸男代表の代表質問が終わりました。枝野氏は「草の根」の視点を強調し、安倍政権の政策は「強いもの」の目線で、人々の暮らしの向上につながっていない、という論を張りました。首相が施政方針演説で保育士や介護職員の待遇改善を誇ったのに対し、枝野氏は「給与増の対象は全体の何%か」「全産業平均との賃金格差はいくら改善されたか」など、具体的に尋ねました。質問相手も、首相だけでなく加藤勝信厚生労働相や麻生太郎財務相らに分かれており、きめ細かな政策論争を狙ったようです。また枝野氏は、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる問題に関連し、佐川宣寿国税庁長官の更迭を求めました。
枝野さんってこんな人
〈解説〉立憲民主党の枝野幸男代表は53歳。1993年に弁護士から政界に転身し、日本新党ブームに乗って初当選しました。連続9期当選です。民主党の菅直人政権で官房長官を務め、東日本大震災の対応にあたりました。防災服姿で何度も記者会見する姿に、ネット上で「枝野寝ろ」との声も出たほどです。昨年10月の衆院選で民進党の再編が混乱する中、「多くの皆さんに『枝野立て』と背中を押していただいた」と新党を立ち上げ、「右でも左でもない、草の根からの民主主義」を掲げて躍進したのは、記憶に新しいところです。(山岸)
衆院本会議場
代表質問始まる
午後1時2分、衆院本会議で代表質問が始まった。トップバッターは、衆院で野党第1党の立憲民主党・枝野幸男代表。原稿を手に、同僚議員の拍手に送られて壇上に向かった枝野氏は、議長席の大島理森議長に向かって一礼。まず草津白根山の噴火へのお見舞いを述べ、同党の紹介を終えると、こう問い始めた。「草の根の暮らしという視点から、予算案などに示された政府の姿勢を見たとき、厳しい環境にある皆さんの暮らしの足元に、目が向いていないと言わざるを得ません」。
代表質問って何?
〈解説〉通常国会や臨時国会などが召集されると、序盤で衆参両院の本会議が開かれ、与野党の代表が質問に立ちます。これが「代表質問」です。国会召集直後、首相はその国会で成立を目指す法案や、当面進めたい政策について演説します。「施政方針演説」、または「所信表明演説」といいます。これを受けて、政党で作る会派の代表が、疑問点をただしたり反論したりする――という仕組みです。ここでのやりとりを通して、国会の基本的な論点が国民に明らかにされることになります。質問するのは、党首や幹事長といった幹部。各会派を「代表」した立場で質問するので、こう呼ばれているんです。(山岸)
午後1時から代表質問
24日午後1時から衆院本会議で、22日にあった安倍晋三首相の施政方針演説に対する与野党の代表質問が行われる。トップバッターは、立憲民主党の枝野幸男代表。続いて自民党の二階俊博幹事長、希望の党の玉木雄一郎代表が質問に立つ。昨年10月の衆院選で躍進した立憲の枝野氏にとっては、11月の特別国会に続いて2回目となる登板だ。安倍首相は憲法改正の発議を視野に入れながらも、国会では「人づくり革命」といった経済・社会政策を前面に打ち出す。枝野氏がどのような視点から切り込むか。政治部の山岸一生記者が解説する。
This entry was posted on mercoledì, Gennaio 24th, 2018 at 09:21 and is filed under News. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can skip to the end and leave a response. Pinging is currently not allowed.