巡視船発注したら…重すぎて速度出ず 納品断念 川崎

写真・図版試験運航する新造船。重く、船体が沈み気味という=川崎市提供

 川崎市は25日、老朽化した市の巡視船「つばめ」(約28トン)の後継船が完成したものの、船体が重すぎて市の求める速度が出ないため、業者との建造契約を解除すると発表した。当面、「つばめ」を使い続けるという。

市によると、「つばめ」は1974年建造。湾岸部の工場地帯を海上から巡視してきた。老朽化したため市は30トン級の船の新造を決め、入札を経て2016年春、横浜市の造船会社と契約を結んだ。建造費は約2億7200万円。就航予定は17年4月で、名称も「かもめ」と決まっていた。

同社は17年3月、市から求められた「19ノット以上」の速度が出るか試験運航をしたところ約14ノットしか出なかった。重さは30トンの計画だったが45トンあった。軽量化を試みたが昨夏の試験でも14ノット止まり。今月に入り、市に「納品断念」の連絡をしてきたという。

同社は「建造時、重量の管理をきちんとしていなかった」と説明しているという。市が建造費を負担することはないといい、賠償金のほか、運航が続く「つばめ」の使用・維持管理の費用も同社が払うという。

市の担当者は「こんな事態は聞いたことがない」と驚き、「新たな船を極力早く造る」と話している。(斎藤茂洋)

ASAHI.COM

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