機内トイレに金塊、密輸未遂容疑 国内線に回る機体狙う
旅客機内のトイレに金塊を隠して国内に密輸し、税金を免れようとしたなどとして、愛知県警は29日、スリランカ国籍の中古車卸売会社(名古屋市港区)の社長の男(48)ら男女計6人を関税法違反(無許可輸入未遂)や消費税法違反の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
6人の逮捕容疑は昨年7月、他の何者かと共謀して金塊5個計5キロ(約2300万円相当)を無許可で輸入し、消費税約180万円を免れようとしたもの。社長が指示役という。持ち込み役の同国籍の男が、台北(台湾)発中部空港行き日本航空の機内トイレの便座パネル内に隠したが、中部空港で警戒中の税関職員が発見し、未遂に終わった。
この機体は一度、中部空港で乗客を降ろした後、国内線として羽田空港へ出発する予定だった。6人の別の仲間がこの便に搭乗して金塊を回収し、税関を通さず密輸入する計画だったとみられるという。金塊を密輸すれば消費税(8%)を免れることができ、日本国内で売却すれば税額分が利ざやとなる。県警は男らが同様の手口で組織的に密輸入を繰り返していた疑いもあるとみて調べる。
金塊を機内に隠して持ち込む手口は、昨夏に相次いで摘発された。昨年7~8月には中部空港と関西空港で、国際線の機内のトイレから金塊十数キロ~数十キロが見つかった。ともに、機体は空港到着後、国内線へ切り替わる予定だった。
日本航空によると、どの機体が国際便からそのまま国内便に回るのかは、「企業秘密」。だが、航空業界関係者によると、公開の運航情報などから、ある程度の推測が可能という。関西空港で金塊を隠されたバニラ・エアは、トイレ内のネジにシールを貼り、細工された形跡が確認できるように対策をとった。
昨秋以降、中部空港では同様の手口の金塊の押収例はない。別の捜査関係者は「相次ぐ押収で、密輸グループは相当な痛手を負ったはずだ」と話している。(松本龍三郎)
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