貴乃花親方は当選するのか 相撲理事候補選、票読み解説

写真・図版理事候補選での当落の行方が注目される貴乃花親方

任期満了(2年)に伴って2月2日に投開票される日本相撲協会の理事候補選に、貴乃花親方(元横綱)が立候補を決めた。定員10人に対し、出馬の意向を示している親方は11人。このままなら、最下位の1人だけが落選することになる。

理事選は、101人の親方の投票で行われる。10票を取れば当選、9票でもほぼ確実となる。

各一門の構成人員を分析すると、無風状態で当選が見えるのは20人で2人(尾車親方=元大関琴風、芝田山親方=元横綱大乃国)が立つ二所ノ関一門、16人で1人(鏡山親方=元関脇多賀竜)の時津風一門、9人で1人(高島親方=元関脇高望山)の伊勢ケ浜一門だ。伊勢ケ浜一門は前回2人を立てて票が割れて高島親方が落選したが、今回は一門で固める予定だ。

八角理事長(元横綱北勝海)が立つ高砂一門は12人。反理事長派がいてほかの親方に流れる票があるとみられるが、当選数は確保できそうだ。

最大派閥で33人が所属する出羽海一門は現職の4人が立候補する。全員を当選確実とするには、3票足りない計算となる。春日野(元関脇栃乃和歌)、出羽海(元幕内小城乃花)、境川(元小結両国)の3親方は当確。山響親方(元幕内巌雄)は前回、他の一門から票を集めて当選した。今回もそういった票がないと、苦しくなる。

そこで貴乃花一門だ。2010年に貴乃花親方二所ノ関一門から飛び出して、同一門や他の一門から合流した親方らで結成された貴乃花一門は現在5部屋で8人。時津風一門から出て無所属になった錣山親方(元関脇寺尾)ら3人を加えた11票が基礎票だ。

今回、初めて2人を立てたが、単純計算すると18票が必要で7票足りない。貴乃花親方は一門会の席上、「私は1人でよいので、皆さんは阿武松親方(元関脇益荒雄)に入れてくれ」と話したという。その場合、阿武松親方は当確になるが、貴乃花親方は1票だけとなる。

貴乃花親方は、10年に初出馬した際に一門の後押しが全くない形で10票を獲得し、当選した。今回も、一門外にいくつかあるとみられる「浮動票」を獲得すれば、「最下位脱出」をする可能性はある。

前回、貴乃花親方は9票だったが、山響、伊勢ケ浜の2候補に応援の票をまわし、当選させたと言われる。その山響親方と今回は票を取り合う形になりそうなのだ。

元横綱日馬富士の傷害事件への対応を巡り、一門外の支持が減ったとみられる貴乃花親方の求心力は健在なのか。協会執行部との対立の真価を問われる選挙にもなりそうだ。(竹園隆浩)

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