スノボ平岡卓、自費でスケボー施設 賞金使って地元に
13日のスノーボード男子ハーフパイプ予選に、前回ソチ五輪銅メダルの平岡卓(22)=バートン=が出場した。生まれ育ったのは雪のほとんど降らない奈良県御所(ごせ)市。練習場所に苦労した思いから、自費で巨大なスケートボードパークを建設した。熱い「ボード愛」は、地元の子どもたちに届き始めている。
奈良県中部にある御所市に2016年9月、約700坪の「御所スケートボードパーク」がオープンした。毎日遅くまで、子どもたちがボードを滑らせる。
平岡は3歳からスキーを、6歳のころにスノーボードを始めた。週末に父、賢治さん(59)が運転する車で岐阜県内のスキー場などに通った。
スケートボードやサーフィンの愛好者でもある。総じて「横乗り」と呼ばれる分野だが、地元にはどれも練習できる場所がなかった。平岡は「自分はそれで苦労した。選手としていつまで続くかわからないから、滑りを見せる以外でも、子どもも大人も横乗りをやりたくなるような文化を地元に残せたらカッコいいなって」。
15年夏、かねての構想実現へ動き出した。理想は、米ロサンゼルスの海沿いにあるような、巨大なコンクリート製のスケートボードパーク。日本に多い屋内の木製パークと違い「本場」にこだわった。
土地は父の知人から借り受け、建設にはロサンゼルスから3人の専門職人を呼んだ。数千万円の総工費は、過去の契約金や賞金からすべて平岡が負担した。
土日になると、遠方から大人のライダーもやってくるが、平日の主役は子どもたち。地元の幼稚園児や小学生が毎日のように通う。滑り始めて1年の小西偉登(いちか)くん(5)は「卓くんと同じくらい努力して、オリンピックに出て1位か2位になる」と目を輝かせる。驚くほどのスピードで上達する子どもたちを見ながら、賢治さんは言う。「いつかここから五輪選手が出る。あながち夢じゃないかもしれませんね」(高野遼、吉永岳央)
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