ジョン・ウー監督の新作、光る大阪ロケ 水上で追跡劇も
近鉄大阪上本町駅の地下ホームを逃げる弁護士役のチャン・ハンユー(C)2017 Media Asia Film Production Limited All Rights Reserved.
映画「レッドクリフ」などで知られるジョン・ウー監督が大阪を主要ロケ地に選んで制作した「マンハント」が全国公開されている。大阪が舞台となる大型海外映画の公開は約30年ぶり。誘致成功の裏には近鉄広報マンの奮闘があった。
「ウー監督が日本を舞台に映画を撮りたがっている」という情報を、近鉄広報部の福原稔浩(としひろ)さん(61)が知ったのは2015年10月ごろ。広報マンとして24年働く一方、7年前に立ち上げた「近鉄ロケーションサービス」の責任者として映画やテレビ番組のロケ誘致に奔走してきた。
まもなく大阪入りしたウー監督を、福原さんは1週間かけて案内した。
「大阪城をバックにガーデンパーティーをしたい」「御堂筋でカーチェイスはできるか」。ウー監督から次々と注文が飛び出した。
大阪を主な舞台にした大型海外映画は、1989年に公開されたリドリー・スコット監督の「ブラック・レイン」以来となる。福原さんはテレビの旅番組など年間約100本の撮影依頼に応じてきた経験から、映画誘致で地域の活性化を目指す大阪フィルム・カウンシル(大阪FC)と解決策を探った。
パーティーシーンのロケには、近鉄の日本一高いビル「あべのハルカス」展望フロアを提案。カーチェイスは大阪府警などに相談したが、大通りの封鎖という壁に突き当たった。「大阪は水の都」。そう思いつき、ウー監督を大阪市中心部の川を巡る船に乗せると、船上からビル群を見ていた監督の目の色が変わった。水上バイクによる追跡劇に変更され、いずれも16年に撮影された。
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