18平米に社員2人…新電力「最安」の挑戦 自由化2年
大手電力が独占してきた家庭向けの電気販売が自由化されてから、4月で2年が経つ。「新電力」会社は1月時点で450を超え、価格競争も激しさを増している。ただ、競争の土台にはいびつさも残る。
JR米原駅から徒歩10分。滋賀県立文化産業交流会館の4階の一角に、「滋賀電力」はある。広さ18平方メートルほどの部屋は、パソコン数台に顧客名簿が並ぶ棚、ソファで埋まっていた。
滋賀電は元経営コンサルタントの山根裕輔さん(30)が2015年4月、資本金30万円で立ち上げた「新電力」だ。現在、顧客数は1700ほど。大阪や京都、滋賀の飲食店や一般家庭に加え、図書館などの公共施設も得意先だ。
「発電所抱えるのはリスク」
電力会社といっても、発電所も電線も持っていない。主な業務は、電気の仕入れと顧客の管理だ。大手電力が余った電気を売りに出す「日本卸電力取引所(JEPX)」から電気を買い、それを関西電力の送電線を使って顧客に届けてもらう。「発電所を抱えるのはリスク。投資を回収できない。電気を供給するのは関電で、ぼくらの仕事ではない」と山根さん。
最大のアピールポイントは、関西でもっとも安い水準の料金だ。人件費など固定費を徹底的に切り詰めた。一緒に働くのは弟の翼さん(28)と、パート従業員が1人だけ。パートは週2~3日、午前中だけ手伝ってもらっている。
事務所の賃料は月3万円弱。電話対応は沖縄県のコールセンターに、営業活動は地元の不動産会社などに任せている。トラブル時の対応も、契約1件あたり月50円の定額で専門業者に委託している。
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