平昌まで1万キロ「チャリで来た」 出場選手の父が話題
スイスから自転車で応援に駆けつけた父親のギド・フビラーさん(左)と母親のリタ・ルッティマンさん=ロイター
ノルディックスキー・ジャンプ男子の45歳、葛西紀明(土屋ホーム)が8回目の五輪で初めて家族を応援に呼んだのが話題になった。海外ではスイスに住む父親が息子の晴れ舞台の雄姿を見ようと、自転車を1万キロ以上こぎ、1年かけて平昌にたどり着いた。
息子はフリースタイルスキー・エアリアル男子に出場し、11位だったミーシャ・ガサー(スイス)。
ロイター通信などによると、父親のギド・フビラーさんは妻のリタ・ルッティマンさんとともに昨年2月、スイスのオルテンにある自宅を出発し、東をめざした。建築家の仕事はやめた。イタリア、クロアチア、トルコ、イラン、アゼルバイジャン、タジキスタン、カザフスタン……。道中はホテルに泊まったり、テントで野営したり。標高4000メートル以上にある中央アジアのパミール・ハイウェーではゆっくりペダルをこいだ。「空気は薄いし、食べ物は手に入らなかったし。とても疲れた」。通過した国は20カ国を数える。
北朝鮮には入れない。だが、その前に国境越えの壁にぶつかった。カザフスタンから中国への入国許可が下りず、空路でタイへ。ラオス、カンボジアを回り、再び飛行機に乗り、17日のエアリアル予選に間に合った。温暖な東南アジアから極寒の韓国に入り、「気温が30度近い国から来たが、ここは零下10度ほど。とても大変」。走行距離は1万2千キロとも、1万7千キロとも報道されている。
父親と再会した息子は笑いながら「父はクレージー。若いころはスカイダイバーだったんだ」。息子の演技を見守った父親は「息子と会えて幸せだ。やったね。とても楽しかった」と笑った。
平昌の次は日本を訪れてから、スイスに帰るという。
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