宮原知子4位、スピンで魅了 「夢の世界、楽しめた」
フィギュアスケート女子の宮原知子(関大)が満面の笑みでガッツポーズを見せた。「結果は悔しいけど、やれることはやった。次につながる」。フリー146・44点、合計222・38点の自己ベストだった。
フリーはオペラ「蝶々夫人」。得意のスピンで加速していった。三つのジャンプを跳び終わった後、ぴょんと跳びはねてスピンを始める。フライングキャメルスピン。片足と上半身をリンクの面と水平に保って回る。
回っている途中、顔を上に向けた姿勢から別の姿勢に変える。加速するのはこの姿勢を変える時だ。
スピンは、ブレード(靴の刃)で氷上に小さな円を描くことで回る。宮原は姿勢を変えると同時に、重心をブレードの外側のエッジ(氷に接する部分)から内側のエッジへ。そして再び外側へ移動させる。ブレードの幅はわずか3ミリ。バランスを取るのも難しく、正確な技術が必要だ。
スピンはジャンプと比べて地味だ。ただ、才能ではなく、積み重ねた分だけ成果が出る。浜田美栄コーチは「ジャンプができない時にスピンの練習時間をしっかり取れたから」と話す。
左足股関節の疲労骨折が治りかけていた昨夏。左足首をけがし、さらに骨折した足とは逆の右足股関節の骨挫傷になった。
ともにリハビリに取り組んできた出水慎一トレーナーと「けがで苦しむ人に希望を与えられる人になろう」と約束した。その約束を果たした19歳。メダルには届かなかったが、「想像以上に夢の世界だった。思う存分、楽しめた」。(後藤太輔)
ASAHI.COM