北大受験翌日に平昌パラ結団式 バイアスロン星沢克
3月9日開幕の平昌パラリンピックに初出場する星沢克(まさる、18)=北海道・立命館慶祥高=は、大学受験生でもある。受験は25日に一段落、翌26日にパラリンピックの結団式に参加し、「今日からやっと競技だけに集中できます」と笑った。今季はトレーニングと勉強で暇なしだった。
生まれつき左ひじから先がない。幼いころからアイスホッケーや野球、サッカーなどに挑戦した中、「世界を目指せる競技」と選んだのが中学1年で始めたスキーだった。ストックを右手にだけ持つため当初はバランスが取れなかったが、すぐに上達。中学3年でワールドカップ(W杯)に初出場し、昨年1月のウクライナでのW杯ではスキー距離スプリント・フリーで8位に入った。
競技に励む一方、中高一貫の進学校で勉学にも励んだ。受験日から目標にしてきたパラリンピックの開幕まで10日余りしかないことが分かっても、迷いなく両方を取った。
昨秋から今年1月13、14日のセンター試験までは遠征、合宿への参加を見送って勉強に集中した。センター試験後、1月22日に代表に決定。志望する北海道大の2次試験までは、競技での遅れを取り戻すため、夜間や授業がない日の午前中に雪上トレーニングの時間を作り、練習後の夜10時ごろまで予備校の自習室にこもる日々を続けた。
今月25日に試験を終えた。自信は「半々です」。合格発表は大会開幕の2日前だが、気持ちはしっかり平昌の戦いに切り替わっている。「良い準備をして良いパフォーマンスをするのは重要ですけど、人生においても貴重な経験になると思うので楽しんできたい」。スキー距離に加えバイアスロンにも出る予定。計4種目に多忙のシーズンの成果を全てぶつける。(菅沼遼)
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〈パラリンピックのスキー距離とバイアスロン〉 それぞれ立位、座位、視覚障害の3カテゴリーがある。障害の度合いによってクラス分けされ、「96%」「89%」といった係数が定められている。順位は、実測のタイムに係数をかけた「計算タイム」で競う。星沢は立位で障害が2番目に軽い「LW8」クラスに分類される。両手にストックを持てない選手や義足の選手と同じ立位のカテゴリーで競う。
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