保育園落ちた…大阪市で3千人「働かないと破綻します」
大阪市の認可保育施設の入所の1次選考で、ある夫婦は息子3人全員の「落選」通知を受け取った(画像の一部を加工しています)
保育園落ちた――。4月からの認可保育園入園をめぐる1次選考の結果が、関西の自治体でも発表されている。落ちた親は「働けない」と怒りの声をあげる。自治体も保育園を増やそうと知恵を絞るが、ニーズになかなか追いつけない。
大阪市では1万4千人が4月からの認可保育園などへの入所を申し込んだが、約3千人が1次選考から漏れた。今月2日に結果が郵送されると、各区の窓口には親が相談に相次いで訪れた。
「働きたいのに、働けない」。ある区の窓口で男性(32)と妻(24)が訴えた。2歳と生後7カ月の双子の息子3人全員が落ちた。
手取りは月20万円ほど。無職の妻はフルタイムで働こうと求職中だが、子どもを預けられる場所が決まらず、内定に至らない。実家も遠くて頼れない。
市に出した認可保育施設の申込書には「金銭的にも共働きしないと、破綻(はたん)します」と書き、送迎できる距離にある9園を希望先に書いたが「全滅」だった。
認可外の近くの保育園に預ける手はある。しかし、所得に応じて保育料が決まる認可園と違って高い。3人で月に計約12万円ほどかかる見込みで、男性の手取りの半分以上が消えることになる。
男性は市に行政不服審査法に基づいた審査請求をすることを考えている。「結果は変わらないかもしれない。でも、市には各家庭の実情をもっと見て欲しい。今後、困る人が出ないようにするために動きたい」と話す。
中央区の窓口を長男(1)と訪れた会社員女性(29)も、希望した4カ所の保育園が全滅。勤務先の従業員は約30人。「4月以降のシフトも組まれている。従業員も少ないのに、今さら『落ちました』なんて言えない」
大阪のベッドタウンの吹田市。1次選考では約960人が落ちた。市役所に相談しにいった母親(31)は窓口で泣き出した。派遣社員で働き、5歳と3歳の娘を夫と育てる。下の娘が通うのは2歳までの小規模保育園。4月からの園を申し込んだが1次選考で落ちた。「本当は3人目が欲しいけれど、こんな子育て環境では現実的に産めない」
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