「社長はお父さんかも」…電話の先の相手に運命を託した
社長と妻の手元には、男性ら家族みんなで撮った笑顔の写真が何枚もある=福岡県内、稲垣千駿撮影
福岡県のある建設会社。社員約70人の三分の一が前科を持つ。かつてヤクザだった社長(57)が妻(54)と立ち上げた。出所者や元ヤクザの社会復帰も支援しながら、成長させてきた。
その電話が会社にかかってきたのは、2016年2月下旬のこと。電話に出た妻に、相手は言った。
「社長が僕のお父さんかもしれません」
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社長には前妻との間に子どもがいた。別れた当時は生後3カ月。前妻から「もう会わないで」と言われ、それっきりだった。
電話越しの声は、育った場所などを答えていく。そして、告げた。「死のうと思っている。最後にお父さんにひと目会ってみたい」
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