辻元氏「財務省、二階氏の顔に泥」 【参院予算委詳報】

写真・図版参院予算委の開会前、麻生太郎財務相(右)と言葉を交わす安倍晋三首相=8日午前9時21分、岩下毅撮影

安倍晋三首相麻生太郎財務相らが出席して参院予算委員会が開かれました。森友学園との国有地取引に関する決裁文書の書き換え疑惑をめぐり、財務省が文書のコピーを提出しましたが、野党側は開示済みの文書と同じだとして反発、審議を欠席しました。タイムラインで予算委の模様などを追いました。

衆院に混乱波及、午後の本会議取りやめ(12:00)

財務省の文書開示を受けて、この日の国会は「大荒れ」となっている。参院予算委員会は野党の大半が欠席したまま、午前の審議を終えた。夕方に再開するが、多くの野党は引き続き欠席する見通しだ。

混乱の影響は衆院にも波及。衆院議院運営委員会は午前の理事会で、この日午後に予定していた本会議の開催に合意が得られず、開かないことを決めた。今後の国会日程は不透明な情勢となった。

公明が質疑終え昼休憩に(11:55)

午前11時55分、横山信一氏(公明)が質疑を終え、参院予算委員会は昼休憩に入った。午後4時に再開する。財務省の文書開示に対し反発し、野党の大半が欠席したままとなっている。

文書問題、麻生氏「早期説明に努力」(11:20)

午前11時20分、本人が欠席したまま大野元裕氏(民進)の持ち時間が「空回(からまわ)し」状態で終了した。次の横山信一氏(公明)は出席しており、質疑が始まった。

横山氏は冒頭、財務省の文書改ざん疑惑を取り上げ、「さらに説明できることがあれば」と麻生太郎財務相に答弁を求める。麻生氏は「捜査の最終的な結論が出る前の段階も視野に入れつつ、できるだけ早期に説明できるように財務省挙げて最大限の努力をしたい」として、引き続き「文書の確認、職員への聞き取り調査」を進めるとした。

与野党、衆参で断続的に協議(10:55)

財務省の文書提出を受けて、衆参両院で与野党が断続的に協議を続けている。衆院では野党の国会対策委員長が会談。終了後、立憲民主党辻元清美国対委員長は記者団に「今日出た文書では承服しかねる。前と同じだ。これ以外にあるのかどうかも明確にされず、『調査する』としか言っていない」と憤った。

さらに「(財務省は)二階幹事長の顔に泥を塗っているんちゃうかな」と辻元氏。自民党二階俊博幹事長は6日の記者会見で「(政府の対応は)理解できない」と述べ、財務省に資料提出を促していた。

野党欠席のまま審議再開 時間空費の「空回し」(10:17)

参院予算委員会は野党のうち民進、共産などが欠席している。金子原二郎委員長(自民)がいったん審議を止めて出席を呼びかけていたが、午前10時17分、審議を再開させた。質問者が欠席していて、やりとりのないまま持ち時間を消化していく方法で、「空回し」と呼ばれる。

このため、参院予算委は、質問席に質問者がいない状態で進行している。予算委の審議は、自民、民進、公明、共産、日本維新の会などの順番で予定されていた。トップバッターの三木亨氏(自民)は10時過ぎに終えていた。

野党欠席、財務省説明は「中身ゼロ」(10:10)

野党のうち民進、共産などは財務省の説明に反発し、参院予算委員会の審議を欠席している。それぞれの理事らは朝の理事会後、記者団に理由を語った。

川合孝典氏(民進)は「財務省に『これが全てか』と言った所、『今出せるものは全て』との回答。6日の時点から1ミリも前に進んでいない。到底、受け入れられない」と説明。

辰巳孝太郎氏(共産)は「改ざん後と思われる資料しか出てこなかった。財務省は書き換えられた後のコピーである可能性を否定できなかった。だとすれば審議の前提が崩れる」。山本太郎氏(自由)は「これだけの紙が出てきたが、結局中身ゼロ。まさに時間稼ぎ。(自民の金子原二郎)委員長が、委員会を進める大前提が崩れたにもかかわらず強行した」と語った。

【解説】財務省の説明変転、審議混乱に拍車

財務省の説明が二転三転したことも、国会審議の混乱に拍車をかける構図となっている。報道を受け、政府として調査するかについて、麻生太郎財務相は2日朝、「捜査への影響」を理由に答弁を控えた。同日夜に財務省の太田充理財局長が「来週火曜(6日)までにできる限り努力して調査し、状況を報告する」と踏み込んだ。だが5日になると麻生氏は「調査の方針、留意点を報告する」と述べるにとどめた。

また、決裁文書の確認についても、同省の富山一成理財局次長は5日昼に「文書の特定や原本を確認する。明朝(6日)報告する」と野党に理解を求めた。だが実際には、6日の説明は「文書をただちに確認できない」とするもので、野党側は「ゼロ回答」だと反発を強めた。

参院予算委が始まる(9:25)

参院予算委員会が始まった。9時28分、安倍晋三首相が最初の答弁に立つ。「できるだけ早期に説明できるよう、財務省を挙げて最大限努力してもらいたい。政府も誠意を持って対応していく考えだ」。紙を読み上げながら、一語一語ゆっくりと説明した。

三木亨氏(自民)への答弁。三木氏は「誠実に対応を」と述べた。野党のうち民進、共産などは現時点で審議を欠席している。

財務省、計4種類のコピー提出(9:15)

参院予算委員会理事会はいったん休憩に入った。財務省はここまでの時点で、同理事会と、野党のヒアリングの双方に問題の決裁文書を提出した。文書は、貸付時と売却時それぞれについて、「紙」と「PDF」双方のコピーで、計4種類。野党は昨年2月以降に国会議員に開示された文書と同じものだとして反発している。

野党はこうした決裁文書がすでに書き換えられていたものではないか、という点を追及しており、財務省がどのように説明するのかが焦点になっている。

決裁文書コピーか、理事会に段ボール(9:10)

午前8時40分、国会内で参院予算委員会理事会が始まった。財務省の職員が、理事会に示す決裁文書のコピーが入ったとみられる段ボールを理事会室に運び込む姿が見られた。理事会は、委員会開始予定の8時55分を過ぎても続いている。財務省が文書を理事に開示し、現在も各党とのやりとりが続いている模様だ。

森友学園との国有地取引を巡る財務省の決裁文書が書き換えられていた疑いがあることを朝日新聞が報じたのは2日。政府に説明を求める野党の要求を受けて財務省は調査を約束したが、6日に出てきた報告は「文書をただちに確認できない」などとする内容だった。このため、野党は「ゼロ回答」とみなして「国政の根幹を揺るがす」と強く反発し、以降の国会審議の調整に応じない姿勢で臨んだ。

与党内には危機感が広がり、7日、近畿財務局にある決裁文書のコピーを開示することを野党側に打診。野党もひとまず受け入れ、8日朝の参院予算委員会理事会に文書が提出されることになった。委員会は午前9時前から始まる予定だが、遅れている。委員会審議では、野党は書き換え疑惑を集中的に追及する見通しだ。(山岸一生)

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