父の「一緒に飛び降りたい」今では笑い話 アルペン狩野
レースを終えた狩野亮(左)と話す父・操さん=13日午後、旌善アルペンセンター、加藤諒撮影
アルペンスキーの狩野亮(32)=マルハン=は14日、今大会4種目目となる大回転に臨んだ。2010年バンクーバー、14年ソチで金メダルを獲得したが、今大会は表彰台に届いていない。それでも世界の舞台で戦う姿を、両親は晴れ晴れとした表情で見守っている。
狩野はへそから下の感覚がない。小学3年の通学時に交通事故に遭い、脊髄(せきずい)を損傷、車いすの生活になった。事故までは日が暮れるまで遊んでいる子どもだった。「こんな生活嫌だ」と母の照美さん(60)にきつくあたり、運動会やドッジボール大会の前になると、学校に行くのを嫌がった。苦しむ我が子を前に、両親も悩んだ。
ある日の夜更け、照美さんは夫の操(みさお)さん(59)の姿がないことに気づいた。家の中を捜すと、狩野のベッドの脇にいた。「亮の人生はもう終わった。一緒に飛び降りてしまいたい」。操さんにとっても、トンネルの中にいるような日々が続いた。
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