走る木炭自動車、電波妨害の鉄塔…国境地帯で見た北朝鮮
中国側から鴨緑江を隔てた対岸を望むと、北朝鮮の労働者たちが、機関車のように煙を吐き出す木炭自動車の荷台に乗り込んでいた=8日、中国吉林省集安から
真っ赤な夕日が照らす道を、旧式の青いトラックが機関車のような黒く濁った煙を吐いて走っていた。
鴨緑江(おうりょくこう)を挟んで北朝鮮と接する中国吉林省集安から対岸を望むと、北朝鮮慈江道満浦近郊で木炭自動車とみられる姿をとらえた。慈江道を頻繁に行き来する貿易商によれば、燃料不足のため木炭車がバス代わりに使われ、住民は現金やたばこを運転手に渡して荷台に乗るという。
荷台の男たち5人は小さな検問所前で降り、係員に書類を示した。脱北防止のため、国境付近の道路で人の往来を管理する「国境通行証」とみられる。
核・ミサイル開発に突き進んできた北朝鮮の農村部では、住民は移動も制限されて苦しい生活を送る。厳重な警備態勢が敷かれた中国側の国境地帯から、北朝鮮の暮らしに迫った。
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