「心がポキンと…」生涯一度の弱音 笑顔で生きた13歳

写真・図版ピースサインでほほえむ宇積由夏さん(2014年6月ごろ、神戸市垂水区、宇積美智代さん提供)

難病を患い、医師への夢を抱きつつ3年前に亡くなった女子生徒(当時13)をしのぶ「命の像」が今春、神戸市垂水区の市立本多聞中学校に建てられた。苦しくても笑顔を失わず、「みんなと同じように学びたい」と願い続けた心そのままに、春風吹く門のわきで新入生たちを迎え入れる。

像のモデルは、2014年12月24日に亡くなった本多聞中学校1年生の宇積(うつみ)由夏(ゆうか)さん。

由夏さんの病気との闘いは生後間もないころに始まった。意識を失うほど口や鼻から出血を繰り返した。病名は血管内皮腫。何度も生死をさまよい、5歳までに20回以上手術を受けた。

小学3年の夏、今度は脳腫瘍(しゅよう)がみつかった。大阪府内の病院に入院。院内学級で学びながら、1年近く抗がん剤治療を続けた。髪の毛が全部抜け、激しい吐き気と下痢に苦しんだ。

夢があった。自分の担当だった男性医師にあこがれて、「先生のような小児科医になりたい」と母の美智代さん(50)に打ち明けた。抗がん剤の強い副作用に耐え、病室で勉強した。

小4の夏に退院し、垂水区の小学校に復帰した。だが、小6のとき脳腫瘍再発甲状腺がんも新たにみつかった。「さすがの私も心がポキンと折れたよ」。生涯たった一度の弱音を母に吐いたのは、この時だ。

ASAHI.COM

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