菅官房長官、「首相案件」文書の調査を指示へ
学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設について首相秘書官(当時)の発言を記した愛媛県が作成したとされる文書が存在した問題で、菅義偉官房長官は10日午前の会見で、関係省庁に対して愛媛県とのやりとりに関する文書について調べるよう指示する考えを示した。
朝日新聞が首相秘書官だった柳瀬唯夫・経済産業審議官が2015年4月に愛媛県の職員らと面会した際、「本件は、首相案件」と述べたと記した文書を確認したと報道。またNHKの報道では、愛媛県が作成した文書が関係省庁に配布されたと報じられた。
菅氏は会見で、柳瀬氏の発言の文書について「政府として承知していない」とした。また柳瀬氏は10日午前、文書でコメントを発表。「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない。この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ない」とした。
国家戦略特区を担当する梶山弘志地方創生相は同日午前の閣議後会見で「愛媛県が作成した文書で直接確認できていない。見たことがない」。林芳正文部科学相は会見で「文書について探索したが、省内では確認できていない」。斎藤健農林水産相は文書について「認識すらしていない。事実関係の確認をしたい」と述べた。
世耕弘成経済産業相は「総理秘書官時代の話である以上、経産省の立場としてお答えする立場にない」とコメントを避け、当時、官邸にいた自身については「官房副長官としての業務上、全く認識していなかった」とした。
一方、立憲民主党など野党6党の国会対策委員長は10日、国会内で会談し、柳瀬氏らの証人喚問を求めることで一致した。会談に先立って立憲の辻元清美国対委員長は記者団に「総理の主導だったのではという疑いが濃厚になった。官邸は疑惑の館になってしまった」と指摘。希望の党の泉健太国対委員長は「首相はうみを出し切るというが、うみをつくったのは政権ではないのか」と述べた。
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