「姉さん」もホームレスだった 河原で食べ物配り20年
ホームレスらを20年以上支援し続ける女性が京都市中心部にいる。「姉さん」。顔見知りからそう呼ばれる女性自身も、かつてはホームレスだった。「困っている人がいるから助ける。ただそれだけ」。支援の動機はシンプルだ。
夜11時まで10人に
2月下旬の冷え込んだ夜。姉さんは京都市内の食料品店の薄暗い裏口に向かっていた。中から出てきた店員から、段ボール3箱を受け取った。中身はおにぎり30個ほどとパン十数個。弁当も数個あった。
「歯がないおっちゃんには柔らかいパンやな」「年配の人には味付けの濃いのはやめとこ」。そう言いながら自転車の荷台に積んだ。食料品店が無料でわけてくれる食べ物を週1回、ホームレスらに配り歩く。
姉さんは年齢は明かさないが、60代。真っ暗な鴨川沿いを自転車で走行。橋の下で寝ている人を見て回り、シートにくるまって横たわる人を見つけた。
「こんばんは」。しゃがんで声をかけた。身を起こした男性に、食べ物が入った袋を差し出した。「遠慮はいらん。渡すために頂いた食べ物や」。寒くないか。体調は悪くないか。3分ほど言葉を交わして気遣い、「ほな、また」と言って去った。
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