核合意離脱、イラン大統領が批判 米抜きで交渉の方針
イラン・テヘランで8日、トランプ米大統領の核合意からの離脱表明を受けて、演説をするロハニ大統領。イラン大統領府提供=AP
米国の核合意からの離脱を受け、イランのロハニ大統領は8日夜、「イランは完全に順守してきたにもかかわらず、米国はこれまで全く核合意の内容を履行してこなかった」と批判した。そのうえで、「この瞬間から、核合意はイランと(米国を除く)5カ国の枠組みになった」として、合意にはとどまる意向を表明した。米国抜きの合意維持のため数週間のうちに、英独仏中ロとの交渉を始める方針も明らかにした。
その一方で、ロハニ師は「交渉の結果、国益にそぐわないとなれば、ウラン濃縮を再開できるようにイラン原子力庁に指示した」と語った。核兵器に転用が可能な高濃縮ウランの生産再開の準備を始める可能性を示すことで、合意維持のため協力を引き出したい意向だ。
保守穏健派のロハニ師は、対外融和路線を掲げて外国からの投資を呼び込むことを目指してきたが、経済成長は思ったように進んでおらず、昨年末にはイラン全土で大規模な反政府デモが発生した。米国の離脱で制裁が発動されれば、反米を基調とする国内の保守強硬派が勢いづく可能性が強く、国内的にも窮地に立たされそうだ。(テヘラン=杉崎慎弥)
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