小笠原のクジラは船の音に反応するか 騒音調査に同行
ジャンプするザトウクジラ=2018年4月24日午後1時51分、東京都小笠原村の父島沖、恵原弘太郎撮影(小笠原ホエールウォッチング協会の特例許可を得て取材)
悠然と泳ぐクジラたちは船の音に反応しているのか――。都心から千キロの小笠原諸島の父島(東京都)で、「海洋騒音」によるクジラへの影響を調べる国内初の研究調査に同行取材した。
小笠原の海は青が濃い。体長13メートルのザトウクジラが現れ、プシューと大きな息が噴き上がった。背中をくるりと丸めて巨大な尾びれを海面に見せる。
小笠原ホエールウォッチング協会(OWA)が定めるウォッチングの際の自主ルールよりもクジラに近づく場合もあるため、特例の許可を得て取材した。
小笠原諸島周辺にはザトウクジラやマッコウクジラ、ミナミハンドウイルカ、ハシナガイルカなどが現れる。ザトウクジラはロシアやアラスカ周辺から12月ごろ小笠原へ来て、5月ごろまで過ごす。父島の周辺では水深200メートルより浅い所に姿を見せる。
OWAによると、船での遭遇率は約20年前の4倍に増えている。陸上からの目視調査では今季累計のべ約900頭、2月には30分間で20頭以上確認できた日もあった。「北太平洋全体で数が増え、えさ環境もよくなった影響もあるのでは」と岡本亮介事務局長は話す。
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