親に漫画と猫を捨てられた 高校時代の憤り、暴走しそう

写真・図版イラスト きたむらさとし

悩みのるつぼ) 相談者 40代女性

40代女性です。高校生の頃、親にされた出来事を、ドラマをきっかけに思い出してしまい、その頃の自分に戻ったかのようにショックの気持ちがわき出ています。

その出来事とは、お小遣いで買いためていた大好きな漫画本をすべて、勉強の妨げになると思ったのか、勝手に廃品回収に出されてしまったことです。隣の家の子がそれを丸ごと持ち帰ったことも目撃しました。

当時は親には怒れず、私が悪かったのかとぼうぜんとし、もんもんとしたまま過ぎた覚えがあります。ついでに言えば、飼っていた猫もなぜか捨てられて、泣きながら自転車で捜しに行ったこともありました。

今、それらの本にとても会いたくなり、一冊もないことに改めて憤りを覚えています。

大人になってからは幾度か親との衝突はありましたが、いつも私の方がおかしいと否定され続けてきました。でもそのままでは苦しいので、自分なりに本を読んだり、親だから仕方ないと諦めたりして、高齢ながらまずまず元気な両親との関係は悪くはありません。

我が子には自分の経験をいかしてきたつもりですが、結婚も子育ても大変でした。

この年になってもまだ憤りが残っていることに自分でも驚いています。このままでは、思春期の自分が出てきて暴走しそうで、親に会うことも怖いです。

回答者 政治学者・姜尚中さん

多感な思春期に自分の大切にしていたものを、親の一存で一方的に取り上げられたり、処分されたりしたら、きっと辛(つら)い思い出になるはずです。あなたの場合、そうした親の仕打ちに、一言も抗弁できず、それを受け入れざるをえなかった苦い記憶が、不惑の年を過ぎても、何かのきっかけで蘇(よみがえ)り、釈然としない気分になっているようですね。

自分には辛い記憶が時おり蘇って、そのために苦しく惨めな気分になることがあるのに、親はそんな記憶のカケラもなく、いたって元気である。このあなたと親との非対称的な関係が、あなたの心をさらに重たくしているのではないでしょうか。

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