当時の教育長に最終報告せず 神戸中3自殺の調査メモ
神戸市垂水区で市立中学3年の女子生徒が自殺し、いじめをうかがわせる他の生徒からの聞き取りメモが市教育委員会首席指導主事の指示で隠蔽(いんぺい)された問題で、当時の教育長が、学校側からメモが残っていると報告を受けて担当課に調査を命じたのに、中間報告を受けただけで、最終的な報告を求めていなかったことがわかった。市教委の委託を受けて経緯を調べた弁護士は、報告書で「市教委の姿勢は非常に消極的」と指摘した。
メモは女子生徒の自殺後に教員が生徒6人から聞き取ったもので、いじめがあったとする内容やいじめたとされる生徒名などが含まれていた。
弁護士の報告書によると、現在の校長が昨年8月、いじめと自殺との関連を調べた第三者委員会の調査報告書でメモが「破棄されていた」と記されているのを見て、現物が校内に残っていると市教委に連絡。当時の教育長は、学校教育課に経緯を調べるよう指示し、中間報告を受けた後、さらに調査を続けるよう命じた。市教委の幹部らが現校長らから事情を聴いたが、教育長に報告せず、教育長や市教委総務部も報告を求めなかったという。また、調査ではメモの現物を確認せず、現校長に提出を促さなかった。
弁護士の報告書は「市教委のメモに関する調査への姿勢は全体として非常に消極的で、真剣な調査がなされたとは到底いえない」などと指摘している。(野平悠一)
ASAHI.COM