林道歩くヒグマとらえた 初確認の利尻島で騒動に
固定カメラで撮影された林道を歩くヒグマ(2018年6月15日午後10時40分、北海道利尻町仙法志の林道、林野庁・宗谷森林管理署提供)
106年ぶりにフンなどヒグマの痕跡が見つかった北海道北部の利尻島で15日夜、林野庁が島内に設置した固定カメラが、林道を歩くヒグマを撮影した。姿が確認されたのは初めて。
島内では5月下旬から各所で足跡やフンが見つかり、林野庁・宗谷森林管理署が11日、夜間も自動撮影ができるカメラを島南西部の国有林内に4台設置。18日にデータを確認したところ、15日午後10時40分、林道を移動するヒグマの姿が写っていた。今後、背後に写る草の丈から、ヒグマの体の大きさを調べる。
この時期はヒグマの繁殖期。対岸の稚内市から最短で約20キロあるが、現地調査をした道立総合研究機構・環境科学研究センターの間野勉・自然環境部長は「オスの成獣で、交尾する相手を求めて泳いで渡ったとみられる。メスがいないことがわかれば本島に戻る可能性もある」とみている。
ただ、日中の目撃がなく、住宅地での痕跡もないことから、間野さんは「いまは野草を中心に食べているようだ。行動も夜にしているようで、非常に警戒心が強い」という。今のところ、島では住民生活や観光に影響を及ぼす問題行動が見られないため、地元自治体は駆除には慎重だ。
日常的にヒグマの目撃や痕跡情報がある本島と違い、島民にとってヒグマは初めての体験。島ではクマよけの鈴や撃退スプレーが売られ、小学校では教員による登下校時の通学路での見守りが続く。本格的な登山シーズンを前にした利尻富士登山の安全祈願祭では、クマよけの祈念もするなど、「ヒグマ騒動」は続いている。(奈良山雅俊)
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