災害時のトイレ、健康問題に直結 真備町で仮設増設進む

写真・図版公民館の敷地内に設置された仮設トイレ=岡山県倉敷市真備町、姫野直行撮影

 西日本を中心とする豪雨災害で、被害が大きかった岡山県倉敷市真備町で、市が避難所以外の公園や学校などにも仮設トイレを設置している。自宅が浸水するなどし、トイレを使えなくなった人が続出しているためだ。市の地域防災計画は仮設トイレの設置は指定避難所と定めていたが、避難所以外にも設置することにしたという。

「家のトイレは水没して使えないから本当に助かる」。同市真備町に住む武政米子さん(71)は、近くの公民館の敷地内に、仮設トイレが設置されたことを喜んだ。

2階建ての自宅は1階部分がすべて水没。寝泊まりはできるが、トイレは使えない状態だった。友人宅のトイレを借りるなどしていたが、なるべくトイレに行く回数を減らすため、水分補給も控えるようになった。片付けなど日中に作業する時も「本当はゴクゴク水を飲みたいけど、一口ずつ飲んでいた」。

日本救急医学会によると、屋外の作業中に十分に水分をとらないと、熱中症が重症化しやすい。屋内でも高齢者は脱水症状に気付かないこともあり、意識して水分をとるよう勧めている。日本旅行医学会は、エコノミークラス症候群の予防のために、水分をとるよう呼びかける。

トイレ不足は、住民の健康問題に直結する。こうしたこともあり、市は避難所以外の公園や学校などにも仮設トイレ100基以上を設置した。

国土交通省や市下水道課によると、真備町では下水処理施設が水没したが、応急処置は既に終わり、処理能力に問題はないという。しかし、家庭のトイレの一部は浸水や断水で使えない状況が続く。市の担当者は「今後、復旧のボランティアも増える。トイレに困っている人のニーズに応えたい」と話している。(姫野直行、野中良祐

ASAHI.COM

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