資金ショート寸前「飛行機が止まる」 JAL破綻10年
「なんだ、これは」
日航の経営改善を検討するため、国交省主導で8月につくったばかりの有識者会議を「白紙にする」と、前原は断言したのだ。
民主党政権は政治家みずからが政策判断する「政治主導」を掲げ、官僚と距離を置いた。宿利ら国交省の幹部たちは、前原に諸施策の現状を伝える「事前レクチャー」すらできないまま、就任会見での「独走」をただ見ているしかなかった。
拡大する集まった職員たちへのあいさつのため姿を見せた前原誠司国土交通相(当時)=2009年9月17日撮影
日航の経営は、すでにダッチロール状態に陥っていた。08年のリーマン・ショック後、国際線などビジネス向け航空需要が激減。不採算の国内地方路線や、燃費の悪いジャンボジェット機を多く抱えていることなども重荷となり、09年3月期は600億円を超える純損失(赤字)を出していた。
「航空局は信用しない」
そこで国交省は政権交代前、官邸や財務省などとも協議して日航の経営を監視する有識者委員会を立ち上げ、抜本的な経営改革を行わせる手はずを整えていた。が、前原は大臣として国交省に乗り込んだその日に、すべてのちゃぶ台をひっくり返した。
連載 JAL破綻の真相②は21日午前に配信予定です。「決められない民主党政権」とJALの苦闘を描きます。
「当時の日航社長と国交省航空局は信用しないというスタンスだった」と、前原は当時の心境を明かす。
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