記事化を知らずに亡くなった男性 コロナで一変した別れ

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和室で夫が集めたレコードを手にする妻。窓際にはお気に入りだった置物のシロクマが立っている=2020年5月9日午後1時40分、栃木県内、鬼室黎撮影

取材考記

 ふるさと岩手県の実家から、祖母が末期の糖尿病で入院したと連絡があったのは、2016年12月だった。余命約1カ月なのだという。仕事を同僚に頼んで、10日間の冬休みの全てを使って朝から晩まで付き添った。

 祖母は好物のカニを一口食べて「うんめえな」と笑顔を見せた。が、眠る時間が増えていった。痩せたほおを触り、頭をなでた。こんなに白髪があったんだと初めて気づき、もっとおばあちゃん孝行をすればよかったと悔やみ、砂時計のように減っていく時間をそばで過ごした。私にとって大事な最後の思い出だ。

 新型コロナの感染拡大は、そうした別れの光景を一変させた。

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