薬物を断つための「語り合い」できない 3密回避に苦慮
プログラムはいずれもグループミーティング形式で、数人~十数人が車座になって1時間以上語り合うのが一般的だ。対象者同士のほか、保護観察官や依存症の経験者、リハビリ施設の職員らが加わる。法務省によると、18年に受講を課されたのは全国で延べ約3100人にのぼる。
だが、新型コロナウイルスの感染が広がり、緊急事態宣言が4月7日、東京や大阪など7都府県に出されると、法務省は全国の保護観察所に対し、プログラムの実施時には各地域の状況に応じた感染対策をとるよう同10日付で通知した。
大阪では全プログラム中断に
当時、約320人が受講中だった大阪保護観察所では、すべてのプログラムが中断した。代わりに保護観察官が電話で「面談」をしたり、コアの受講者には指定の教材で自習を課し、学習状況を郵送で報告させたりしたという。だが、「同じ経験をした者同士で集まり、苦しみや悩みを打ち明け合ってこそ効果がある。自習では多くを望めない」と担当者は打ち明ける。
薬物を使っていないかを確かめるため、受講のたびに義務づけていた尿や唾液(だえき)による簡易薬物検査もできなくなった。電話面談で再犯の恐れがあると判断した一部の受講者には、任意で検査を受けるよう促したが拒む人もいたという。
緊急事態宣言の解除を受け、6月1日からコアプログラムを再開したが、全面再開は7月以降になる見通し。担当者は「これだけ長期間の中断は過去にないが、基礎疾患を抱えた受講者がいることを考えると仕方ない」と言う。
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