結婚式は葬式に変わった 婚約者なくし職を転々、路上へ
静岡県から17歳でひとり東京に出て、料亭に住み込みで働いた。実家へ仕送りもしていたという=2020年6月8日、名古屋市内
あと少しで、手が届くところだった。
男性(59)は、名古屋市内の高架下で暮らしている。木を組み立てた「住まい」。ここから市内の料亭に通っていた。そこで働くようになって、15年余り。
料亭の敷地に、来年には寮ができるはずだった。そこに入る日を目標にしていた。それを、新型コロナウイルスが奪った。
「もうやっていけない」と親方に告げられ、4月から店は休業に入った。再開のめどは立たない。寮の計画も立ち消えになった。
「これだけ影響が出たらね」。マスク越し。自らの思いは、あまり多くは語らない。「俺よりも親方の方がショックだったと思う。相当苦労しているから。なんでコロナで潰れなきゃいけないのかって」。たばこの箱を手でいじりながら、つぶやくように話した。
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